出産後の心身の回復期に、専門家のサポートを受けながら育児技術を学べる産後ケア事業。渋谷区では宿泊型、デイサービス型、訪問型の3種類のサービスを提供しており、それぞれの状況に合わせて選択できます。
この記事では、渋谷区の産後ケア制度の全体像から費用、申請方法、提携施設まで詳しく解説します。
渋谷区の産後ケア事業で利用できる3つのサービス形態
渋谷区では、産後の母子を支援するため「宿泊型」「デイサービス型」「訪問型」の3つの産後ケア事業を実施しています。いずれも助産師などの専門スタッフから母体ケア、乳房ケア、授乳指導、育児相談などのサポートを受けられます。
BABY JOB株式会社が2024年に実施した調査によると、産後の悩みやトラブルを経験した保護者は93.6%にのぼる一方、自治体の産後ケア事業を実際に利用した人は33.9%にとどまっています。利用者の87.1%が「おすすめしたい」と回答していることから、制度を知り活用することの重要性がわかります。
参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000133.000038762.html
宿泊型産後ケアの特徴と向いている人
宿泊型は、渋谷区が契約する医療機関や助産院に数日間滞在し、24時間体制でサポートを受けられるサービスです。夜間も助産師が対応してくれるため、夜泣きや授乳で睡眠不足が続いているママも安心して休息を取ることができます。
宿泊型が向いている人の特徴として、里帰りができず家族のサポートが受けられない方、産後の体調回復が思わしくない方、授乳がうまくいかず集中的に指導を受けたい方などが挙げられます。渋谷区では原則産後1年以内まで利用可能で、最大で連続した日数の利用ができます。
デイサービス型産後ケアの特徴と向いている人
デイサービス型は、日帰りで施設に通所し、日中の時間帯にケアを受けるサービスです。令和7年4月から渋谷区でも本格的に開始され、宿泊型よりも気軽に利用できる選択肢として注目されています。
自宅での育児は継続しながらも日中にリフレッシュしたい方、特定の育児スキル(授乳方法や沐浴など)を集中的に学びたい方、費用を抑えながらプロのサポートを受けたい方に適しています。利用時間は施設によって異なりますが、昼食付きのプランが一般的です。
訪問型産後ケアの特徴と向いている人
訪問型は、助産師が自宅を訪問してケアを提供するサービスです。外出が難しい産後間もない時期や、赤ちゃんを連れての移動に不安がある方でも、自宅にいながら専門的なサポートを受けられます。
訪問型のケア内容には以下のようなものがあります。
- 母体の健康状態チェックと産後の生活アドバイス
- 乳房ケアや授乳方法の個別指導
- 赤ちゃんの発育確認と沐浴指導
- 育児に関する相談対応
自宅という慣れた環境でケアを受けられるため、リラックスした状態で相談できる点が大きな特徴です。
渋谷区の産後ケアにかかる費用と助成制度の詳細

渋谷区の産後ケア事業は、区からの助成により自己負担額が大幅に軽減されています。本来であれば1日数万円かかる産後ケアサービスを、数千円程度で利用できる制度設計になっています。
各サービス形態の自己負担額一覧
渋谷区の産後ケア事業における自己負担額は、サービス形態によって異なります。課税世帯の場合の目安は以下の通りです。
- 宿泊型:1日あたり3,500円〜6,000円程度
- デイサービス型:1日あたり2,000円〜3,000円程度
- 訪問型:1回あたり1,000円〜2,000円程度
施設によって料金設定が異なる場合がありますので、利用前に各施設や渋谷区中央保健相談所に確認することをおすすめします。なお、双子以上の場合は1人につき追加料金が発生することがあります。
非課税世帯・生活保護世帯向けの減免制度
渋谷区では、経済的な負担を軽減するため、住民税非課税世帯や生活保護受給世帯向けの減免制度を設けています。非課税世帯の場合、宿泊型で1日あたり1,000円〜3,000円程度まで軽減されます。
生活保護受給世帯については、自己負担が免除される場合もあります。減免を受けるためには、申請時に非課税証明書や生活保護受給証明書などの提出が必要となりますので、事前に必要書類を確認しておきましょう。
渋谷区の産後ケアを利用するための条件と申請手順
産後ケア事業を利用するためには、事前の申請と審査が必要です。妊娠中から準備を始めることで、産後スムーズにサービスを利用開始できます。
産後ケア事業の対象者と利用条件
渋谷区の産後ケア事業を利用できるのは、以下の条件をすべて満たす方です。
- 渋谷区に住民登録がある母子
- 家族などから十分な育児・家事支援が受けられない
- 産後の体調不良や育児不安がある
- 母子ともに医療行為の必要がない
- 感染症にかかっていない(疑いを含む)
利用可能期間は原則産後1年以内ですが、施設によって受け入れ可能な月齢が異なります。令和7年4月時点では、最長産後7か月未満までとしている施設もありますので、事前に確認が必要です。
申請から利用開始までの具体的な流れ
渋谷区の産後ケア事業は、妊娠28週(8か月)から申請が可能です。申請方法はLINE、郵送、窓口の3つから選択できます。
申請から利用までの流れは次の通りです。まず利用申請書を提出し、区による審査を受けます。審査通過後、「利用承認通知書」が郵送で届きます。通知書が届いたら、希望する施設や助産師に直接連絡して利用予約を行います。
なお、一度の申請で宿泊型、デイサービス型、訪問型のいずれも利用可能となります。申請書は渋谷区のホームページからダウンロードできるほか、渋谷区LINE公式アカウントからオンライン申請も可能です。
渋谷区の産後ケアで利用できる提携施設の紹介
渋谷区は複数の医療機関や助産院と契約しており、利用者は自分の希望に合った施設を選ぶことができます。施設によって提供されるサービス内容や雰囲気が異なりますので、可能であれば事前に見学することをおすすめします。
宿泊型で利用できる施設
渋谷区の宿泊型産後ケアで利用できる主な施設には、松が丘助産院(中野区)、東京都済生会中央病院(港区)、東都文京病院(文京区)、ファン助産院(杉並区)などがあります。
各施設の特徴として、助産院は少人数でアットホームな雰囲気の中できめ細かいケアを受けられる点、病院併設型は医療面でのバックアップ体制が整っている点などが挙げられます。施設によって食事内容や部屋のタイプ、面会ルールなども異なりますので、自分の優先事項を明確にして選ぶとよいでしょう。
デイサービス型・訪問型で利用できる施設
デイサービス型や訪問型では、宿泊型の提携施設に加え、地域の助産師による訪問サービスも利用できます。訪問型の場合、渋谷区が委託する助産師が自宅を訪問してケアを行います。
施設を選ぶ際のチェックポイントとしては以下の点が重要です。
- 自宅からのアクセスの良さ
- 提供されるケア内容(乳房ケア重視、育児相談重視など)
- スタッフの対応や雰囲気
- 予約の取りやすさ
事前に施設の説明会や見学会に参加すると、実際の雰囲気を確認できます。
渋谷区の産後ケア以外で検討したい民間サービス
区の産後ケア事業に加えて、民間の産後ケアサービスを組み合わせることで、より手厚いサポート体制を構築できます。費用は自己負担となりますが、柔軟な対応が可能な点が魅力です。
産後ドゥーラサービスの活用
産後ドゥーラは、産前産後の母親に寄り添い、家事や育児のサポートを行う専門家です。渋谷区内でもキッズラインやポピンズシッターなどのマッチングサービスを通じて、認定資格を持つドゥーラを探すことができます。
産後ドゥーラのサービス内容は幅広く、赤ちゃんのお世話代行、沐浴サポート、授乳相談、家事代行、上の子のケアなどを依頼できます。区の産後ケア事業が「施設でのケア」中心なのに対し、ドゥーラは自宅での日常的なサポートを提供してくれる点が特徴です。
産後ケアホテル・整体サロンの利用
より充実した設備やサービスを求める場合は、民間の産後ケアホテルや産後専門の整体サロンという選択肢もあります。渋谷区周辺には産後ママ向けの整体院や骨盤矯正サロンが多数あり、産後の体の歪み改善やリラクゼーションを目的に利用する方も増えています。
民間サービスは費用が高くなる傾向がありますが、予約の柔軟性や施設の快適さ、提供されるケアの幅広さといった点でメリットがあります。区の助成制度と民間サービスを上手に組み合わせることで、自分に合った産後ケア体制を整えることができます。
渋谷区の産後ケアに関するよくある質問
Q. 里帰り出産の場合、渋谷区の産後ケアは利用できますか?
A. 渋谷区に住民登録があれば、里帰り先から戻った後に利用可能です。ただし、里帰り先の自治体で産後ケアを利用したい場合は、その自治体の制度を確認する必要があります。渋谷区から里帰り先への費用負担の調整が行われる場合もありますので、事前に中央保健相談所にご相談ください。
Q. 産後ケアの利用は何回まで可能ですか?
A. 渋谷区の産後ケア事業は、宿泊型、デイサービス型、訪問型それぞれに利用回数や日数の上限が設定されています。具体的な回数は申請時に発行される利用承認通知書に記載されます。一般的に宿泊型は数日間、訪問型は複数回の利用が認められています。
Q. 妊娠中でも産後ケアの申請はできますか?
A. はい、妊娠28週(8か月)から申請が可能です。出産後は心身ともに余裕がなくなることが多いため、妊娠中に申請を済ませておくことをおすすめします。申請書の利用者(子)情報や利用期間は未定のまま提出しても問題ありません。
まとめ
渋谷区の産後ケア事業は、宿泊型、デイサービス型、訪問型の3つのサービス形態から自分に合ったものを選択できます。区からの助成により自己負担額は大幅に軽減されており、課税世帯でも1日数千円程度で専門家のサポートを受けられます。
利用にあたっては妊娠28週から事前申請が可能で、LINE、郵送、窓口のいずれかで手続きできます。産後の悩みを抱える方の9割以上がいる一方で、実際に制度を利用している人は3割程度という調査結果もあります。せっかくの制度を活用し、安心して産後の時期を過ごせるよう、早めの情報収集と申請準備を進めてみてください。
