川崎市で個人事業主として開業する際には、税務署への開業届の提出が必要です。川崎市には3つの税務署があり、住所によって管轄が異なるため、正しい提出先を把握しておくことが重要となります。
この記事では、川崎市で開業届を提出する方法から、一緒に提出すべき書類、さらに川崎市独自の創業支援制度まで詳しく解説します。これから川崎市で事業を始める方は、ぜひ参考にしてください。
川崎市の開業届とは個人事業主が最初に行う手続き
川崎市で個人事業主として事業を開始する場合、まず行うべき手続きが開業届の提出です。開業届は税務署に対して「これから事業を始めて納税します」という意思表示を行う重要な届出書となります。
届出自体は無料で、手続きも比較的シンプルですが、提出期限や管轄税務署など押さえておくべきポイントがいくつかあります。
開業届の正式名称と役割
開業届の正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。この届出書は国税庁のホームページからダウンロードできるほか、各税務署の窓口でも入手可能となっています。
開業届を提出することで得られる主な効果は以下のとおりです。
- 青色申告承認申請書を提出できるようになる
- 屋号付きの銀行口座を開設できる
- 小規模企業共済や創業融資の申請時に必要となる
- 社会的信用を得やすくなる
開業届の提出は法律で義務付けられていますが、届出を行わなくても直接的な罰則はありません。ただし、青色申告の特典を受けるためには開業届の提出が前提となるため、節税を考えている方は必ず提出しておきましょう。
開業届の提出期限と届出が遅れた場合
開業届の提出期限は、事業を開始した日から1ヶ月以内と定められています。たとえば4月1日に開業した場合は、5月1日までに提出する必要があるということです。
提出期限を過ぎてしまった場合でも、前述のとおり罰則はありません。しかし青色申告承認申請書の提出期限は開業日から2ヶ月以内であるため、開業届の提出が遅れると青色申告の開始時期にも影響が出る可能性があります。
開業届と青色申告承認申請書は同時に提出することで、期限を気にする必要がなくなり手続きも一度で済むためおすすめです。
川崎市で開業届を提出する税務署の管轄一覧

川崎市には川崎南税務署、川崎北税務署、川崎西税務署の3つの税務署があります。開業届は納税地(通常は住所地)を管轄する税務署に提出する必要があるため、自分の住所がどの税務署の管轄になるかを確認しておきましょう。
各税務署の管轄エリアは、川崎市の行政区によって明確に分けられています。
川崎南税務署の管轄エリアとアクセス
川崎南税務署は川崎区と幸区を管轄しています。JR川崎駅や京急川崎駅からアクセスしやすい立地にあり、川崎市の中心部で事業を行う方はこちらが提出先となります。
川崎南税務署の所在地は以下のとおりです。
- 住所:〒210-8531 川崎市川崎区榎町3番18号
- 電話:044-222-7531(自動音声案内)
- アクセス:JR川崎駅から徒歩14分、京急川崎駅から徒歩11分
開庁時間は平日の8時30分から17時までとなっており、土日祝日は閉庁しています。
川崎北税務署の管轄エリアとアクセス
川崎北税務署は中原区、高津区、宮前区を管轄しています。武蔵小杉や溝の口エリアで事業を行う個人事業主は、こちらの税務署に開業届を提出することになります。
川崎北税務署の所在地は以下のとおりです。
- 住所:〒213-8503 川崎市高津区久本2丁目4番3号
- 電話:044-852-3221(自動音声案内)
- アクセス:JR南武線武蔵溝ノ口駅から徒歩15分またはバス3分
川崎北税務署は溝の口駅から少し距離があるため、バスの利用も検討してみてください。
川崎西税務署の管轄エリアとアクセス
川崎西税務署は多摩区と麻生区を管轄しています。新百合ヶ丘や登戸エリアで事業を行う方は、川崎西税務署が提出先となります。
川崎西税務署の所在地は以下のとおりです。
- 住所:〒215-8585 川崎市麻生区上麻生1丁目3番14号 川崎西合同庁舎
- 電話:044-965-4911(自動音声案内)
- アクセス:小田急線新百合ヶ丘駅から徒歩3分
3つの税務署の中では最も駅から近く、窓口での提出を考えている方にとっては便利な立地です。
郵送先は東京国税局業務センター川崎南分室
令和5年7月10日以降、川崎市内の3税務署宛ての郵送による申告書・申請書は、すべて東京国税局業務センター川崎南分室に送付することになりました。これは税務署の内部事務のセンター化に伴う変更です。
郵送で開業届を提出する場合の宛先は以下のとおりです。
〒210-8606 川崎市川崎区榎町3番18号 東京国税局業務センター川崎南分室(○○税務署) ※○○には川崎南、川崎北、川崎西のいずれかを記入
郵送の際は、提出用と控え用の2部を作成し、切手を貼った返信用封筒を同封することで、控えに収受印を押して返送してもらえます。
川崎市で開業届を提出する4つの方法
川崎市で開業届を提出する方法は、e-Tax(電子申告)、郵送、税務署窓口への持参、時間外収受箱への投函の4つがあります。それぞれの方法に特徴があるため、自分の状況に合った提出方法を選びましょう。
e-Tax(電子申告)で提出する方法
e-Taxを利用すれば、自宅からインターネットで開業届を提出できます。マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン)があれば、24時間いつでも手続きが可能です。
e-Taxでの提出には以下の準備が必要となります。
- マイナンバーカード
- ICカードリーダーまたはマイナンバーカード読取対応スマートフォン
- e-Tax利用者識別番号(初回のみ取得が必要)
e-Taxの大きなメリットは、本人確認書類の提示や写しの添付が不要になる点です。また、マネーフォワード クラウド開業届やfreee開業といった無料サービスを使えば、フォームに沿って入力するだけで書類が作成でき、そのままe-Taxで提出することも可能です。
郵送で提出する方法
郵送での提出は、税務署まで行く時間がない方におすすめの方法です。開業届の提出日は消印の日付となるため、期限ギリギリの場合は消印日に注意しましょう。
郵送で提出する際に同封すべきものは以下のとおりです。
- 開業届(提出用)
- 開業届(控え用)
- 本人確認書類のコピー(マイナンバーカードの表裏、または通知カード+運転免許証など)
- 返信用封筒(切手貼付、返送先住所記入済み)
本人確認書類は、マイナンバーの確認と身元確認の両方が必要となります。マイナンバーカードをお持ちの方は表裏のコピーで両方を満たせますが、通知カードの場合は別途運転免許証などの身元確認書類も必要です。
税務署窓口で提出する方法
税務署の窓口に直接持参する方法は、記入漏れや不明点があればその場で確認できるというメリットがあります。初めて開業届を提出する方で不安がある場合は、窓口での提出を検討してみてください。
窓口で提出する際の注意点として、税務署の開庁時間は平日の8時30分から17時までという点があります。土日祝日は閉庁しているため、平日に時間を確保する必要があります。
窓口には本人確認書類の原本を持参すれば、コピーを取る必要はありません。また、その場で控えに収受印を押してもらえるため、即日で手続きが完了します。
時間外収受箱を利用する方法
各税務署には「時間外収受箱」が設置されており、開庁時間外や休日でも書類を投函することができます。切手も不要なため、税務署が近くにある方は便利な方法です。
時間外収受箱に投函する場合も、郵送と同様に提出用と控え用の2部を準備し、返信用封筒を同封しておくことで、後日控えが返送されます。
ただし、記入内容の確認はできないため、事前に書類の記載内容をしっかり確認してから投函するようにしましょう。
川崎市の開業届と一緒に提出すべき書類

開業届を提出する際には、他の届出書も一緒に提出しておくことで、後から何度も税務署に行く手間を省けます。特に青色申告承認申請書は、節税効果が大きいため必ず検討しておきたい書類です。
所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は、確定申告で青色申告を行うために必要な届出書です。青色申告には最大65万円の特別控除や、赤字の3年間繰越など大きな節税メリットがあります。
国税庁の公式サイトによると、青色申告の主な特典は以下のとおりです。
参照元:国税庁「所得税の青色申告承認申請手続」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/09.htm
青色申告承認申請書の提出期限は、1月16日以降に開業した場合は開業日から2ヶ月以内です。1月1日から1月15日までに開業した場合は、その年の3月15日が期限となります。
開業届と同時に提出すれば期限を気にする必要がなく、開業初年度から青色申告の特典を受けられます。
青色事業専従者給与に関する届出書
家族を従業員として雇い、給与を支払う予定がある場合は「青色事業専従者給与に関する届出書」も一緒に提出しておきましょう。この届出書を提出することで、家族への給与を全額経費として計上できるようになります。
届出書には支払う給与の金額を記載する必要があるため、事前に給与額を決めておく必要があります。届出期限は、青色事業専従者給与を経費に算入しようとする年の3月15日までです。
開業と同時に家族を雇用する予定がある場合は、開業届、青色申告承認申請書と合わせて提出しておくと効率的です。
神奈川県への個人事業開業届出書
税務署への開業届とは別に、神奈川県の県税事務所にも「個人事業開業届出書」を提出する必要があります。これは個人事業税に関する届出で、事業を開始した日から1ヶ月以内に提出することとされています。
神奈川県の開業届出書は、税務署提出用・県税事務所提出用・市町村提出用・控え用の4枚綴りになっています。税務署に提出すれば、県税事務所と市町村への回付も行ってもらえるため、税務署への提出だけで手続きが完了します。
なお、川崎市への届出については、神奈川県川崎市の場合は市への提出は不要とされています。
川崎市の開業届を提出した後に活用できる創業支援制度
川崎市では、開業した個人事業主向けに様々な創業支援制度を用意しています。開業届を提出した後は、これらの制度を積極的に活用して事業の成長に役立てましょう。
川崎市創業支援資金
川崎市では、これから開業する方や開業して5年以内の事業者を対象とした融資制度「創業支援資金」を設けています。融資限度額は3,500万円で、運転資金・設備資金として活用できます。
川崎市創業支援資金の特徴は以下のとおりです。
- 融資限度額:3,500万円(運転資金・設備資金合計)
- 融資期間:運転資金7年以内、設備資金10年以内
- 金利:年2.1%以内(自己資金の割合によってさらに優遇あり)
- 保証料:川崎市の助成により借受者負担がゼロ
特に注目すべきは、信用保証料の借受者負担がゼロになる点です。川崎市の助成と川崎市信用保証協会の保証料引下げにより、この優遇措置が実現しています。
また、女性・若者(30歳未満)・シニア(50歳以上)を対象とした「女性・若者・シニア起業家支援資金」もあり、該当する方はさらに有利な条件で融資を受けられる可能性があります。
川崎市産業振興財団の無料相談
川崎市産業振興財団では、創業前後の事業者向けに税理士や中小企業診断士などの専門家による無料相談を実施しています。事業計画の作成から経営課題の解決まで、幅広い相談に対応しています。
相談は事前予約制となっており、川崎市産業振興財団のホームページから申し込みが可能です。また、創業者向けのセミナーや講座も定期的に開催されているため、開業前の情報収集にも活用できます。
特定創業支援等事業を修了すると、川崎市から証明書が発行され、登録免許税の軽減や創業融資の申込要件緩和など、様々な優遇措置を受けることができます。
川崎市の開業届に関するよくある質問
Q1. 川崎市で開業届を提出しなかった場合、罰則はありますか?
開業届の提出は法律で義務付けられていますが、提出しなかった場合でも直接的な罰則はありません。ただし、開業届を提出していないと青色申告承認申請書を提出できないため、青色申告の節税メリットを受けることができなくなります。また、屋号付きの銀行口座開設や各種融資の申請時にも開業届の控えが必要となるケースが多いため、開業したら速やかに提出することをおすすめします。
Q2. 川崎市の開業届は自宅の住所と事業所の住所が違う場合、どちらに提出しますか?
開業届は原則として住所地(自宅)を管轄する税務署に提出します。ただし、事業所の所在地を納税地として届け出ることも可能です。その場合は「所得税・消費税の納税地の変更に関する届出書」を提出することで、事業所所在地を管轄する税務署に届出や確定申告を行うことができるようになります。川崎市内で自宅と事業所の区が異なる場合は、どちらの税務署を利用するか検討してみてください。
Q3. 副業で個人事業を始める場合も川崎市の税務署に開業届を提出する必要がありますか?
副業であっても継続的に収入を得る事業を行う場合は、開業届の提出が必要です。会社員として給与所得を得ながら副業を行う場合、副業の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要となります。副業でも青色申告の特典を受けたい場合は、開業届と青色申告承認申請書を提出しておくことで、最大65万円の特別控除などの節税メリットを活用できます。
まとめ
川崎市で個人事業主として開業する際の開業届の提出について解説しました。川崎市には川崎南・川崎北・川崎西の3つの税務署があり、住所地によって管轄が異なります。提出方法はe-Tax、郵送、窓口持参、時間外収受箱の4つから選べるため、自分の状況に合った方法を選択してください。
開業届は事業開始から1ヶ月以内に提出する必要がありますが、青色申告承認申請書と一緒に提出することで手続きを効率化できます。また、川崎市独自の創業支援資金や産業振興財団の無料相談など、開業後に活用できる支援制度も充実しています。
これから川崎市で事業を始める方は、この記事を参考に開業届の提出を進めてみてください。
